遺産分割における株式の評価は、取引相場のある株式(上場株式等)と、取引相場のない株式(非上場株式等)によって評価方法が異なります。
上場株式の場合は、証券取引所(東京証券取引所等)で公表されている株価を当該株式の価額として評価します。一方、同族会社株式などの非上場株式の場合、実務上は相続税申告の評価額を基準に、当事者間で合意できた株価を当該株式の価額とすることが多いといえます。
1.取引相場のある株式(上場株式等)の場合
証券取引所に上場されて売買されている株式等、取引相場のある株式の場合、その取引価格(株価の終値)は証券取引所等が公表している情報から明らかであることから、その価格を基準に評価します。
なお、いつの時点の株価を基準とするかについては、実務上は、遺産分割協議成立時点(又は直前)の株価を基準に評価することが多いといえます。
2.取引相場のない株式(非上場株式)の場合
相続税申告の評価額を一つの目安とした上で、相続人間の合意により評価額が決まればその価額を当該株式の評価額とします。通常は会社の顧問税理士に依頼することで、評価にかかる費用や時間を短縮できることがあります。
しかし、相続人間の対立等で顧問税理士に依頼することが相当でない場合は、外部の税理士や公認会計士に会社の決算資料等を提出の上、評価を依頼することもあります。
なお、遺産分割調停や遺産分割審判にあたり、非上場株式の評価が問題となる場合には、裁判所が選任する鑑定士によって当該株式の評価がなされます。この場合の鑑定費用は、原則として調停等の当事者が負担する必要があります。