回答
遺産分割が終わるまでの間、遺産の管理を誰が行うかについて、特に法律上の定めはありません。一般的には、相続人が共同で管理するか、相続人のうち特定の者が代表で管理するケースが多いと考えられます。
相続人が管理することが難しい場合は、第三者に管理を委託しても構いませんし、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産管理の必要性があれば、裁判所に財産管理者の選任を申し立てることも可能です。
解説
遺言がない場合で相続人が複数人いる場合は、遺産はその共有に属します(民法898条)。遺産分割が終わるまでは、遺産はこの共有状態にあるため、遺産の管理も、一般的には相続人が分担して行うか、特定の相続人が代表で管理することが多いと考えられます。
しかし、相続人が遠方に居住しているような場合や、管理が困難な場合には、第三者に管理を委託することも可能です。また、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産管理の必要性があれば、裁判所に対して財産管理者の選任を申し立てることも可能です(家事事件手続法200条1項)。
なお、遺産の管理に要した費用は、相続財産に関する費用として、相続財産から支出するこことができます。
参考条文
民法
(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
家事事件手続法
(遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)
第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。