回答
判例は、遺骨の所有権は、祭祀を主宰すべき者(祭祀主宰者)に帰属するとしています(最高裁平成元年7月18日判決)。
したがって、一般的には、遺言等によって決められた祭祀主宰者が、遺骨の所有権を取得するものと考えられます。
解説
1.遺骨は相続財産に含まれるか
遺骨は、相続財産には含まれません。したがって、遺産分割協議や遺産分割調停の直接の対象にはなりませんが、遺産分割調停等において、遺骨の帰属について協議が行われることもあります。
2.遺骨の権利の帰属
遺骨について、民法は明文の規定をおいていないものの、判例は、遺骨の所有権は、祭祀を主宰すべき者(祭祀主宰者)に帰属するとしています(最高裁平成元年7月18日判決)。
3.祭祀主宰者
祭祀主宰者とは、祖先の祭祀を主宰し、系譜、祭具及び墳墓等の祭祀財産を承継する者のことをいいます。
祭祀主宰者について、民法は、次の順番で承継されると規定しています。
①被相続人の遺言等によって指定された者
②被相続人の地域の慣習によって決められた者
③家庭裁判所の調停又は審判によって決められた者
したがって、一般的には、上記により指定された者が祭祀主宰者となり、遺骨の所有権を取得することになるものと考えられます。
参考条文
民法
(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。