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相続のよくあるご質問
遺産分割のやり直しと時効について

遺産分割をやり直すことはできますか。やり直しに時効はありますか。

遺産分割は、相続人全員の同意がある場合等に、やり直すことができます。ただし、思わぬ課税が生じることがあるため、事前に税理士等の専門家に相談の上で進めることをお勧めします。

1.遺産分割協議のやり直しの可否

遺産分割協議のやり直しは、原則としてできません。なぜなら、遺産分割協議は相続財産を確定的に分割するものであり、そのやり直しを安易に認めると、法的安定性を著しく害するからです。

しかし、例外的に遺産分割協議をやり直すことができる場合があります。

①相続人全員の同意がある場合

遺産分割協議は、相続人全員の同意によって成立するものです。そのため、相続人全員が同意すれば、遺産分割協議をやり直すことができます。

なお、一人でもやり直しに反対する相続人がいる場合は、遺産分割協議をやり直すことはできません。

②遺産分割協議書に記載のない新たな財産が発見された場合

遺産分割協議成立後に、遺産分割協議の対象となっていない相続財産が新たに発見された場合、再度、遺産分割協議を行う必要があるとも考えられます。

もっとも、新たな財産が発見されたことをもって、既に遺産分割が成立した財産について協議のやり直しを求めることはできません。

③遺産分割協議が無効又は取り消された場合

遺産分割協議自体が無効であった場合や、後から取り消された場合は、遺産分割協議が成立していないことになるため、遺産分割協議をやり直す必要があります。

遺産分割協議が無効のケースとしては、相続人の一人が認知症で判断能力がなかったのに、他の相続人が勝手に実印を押印して遺産分割協議書を作成したような場合や、一部の相続人を除いて遺産分割協議を成立させたような場合です。

また、遺産分割協議が取り消されるケースとしては、協議の際に他の相続人から脅迫されて無理やり押印させられた場合や、財産が全くない等騙されて押印したような場合等です。

2.遺産分割協議の時効

遺産分割協議自体には、時効や期限はありません。また、やり直しの場合も同様です。

ただし、騙されたり脅迫されたり等して遺産分割協議を取り消すことができる場合、その取消権の行使は追認できるときから5年で時効消滅する(民法126条)ため、注意が必要です。

3.遺産分割協議をやり直す場合の注意点

①第三者との関係

遺産分割協議をやり直した場合、相続した財産を一部の相続人が処分していることも考えられます。そのような場合、第三者への処分が有効となり、当該財産を取り戻すことができないこともあります。事案により異なりますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

②税金

遺産分割協議をやり直した場合、相続人が一旦取得した財産を贈与又は売買により移転したものと扱われることがあり、その場合、贈与税等の税金が生じてしまいます。

そのため、遺産分割をやり直すときは、不測の課税が生じないかどうか、税理士等の専門家に相談してから行うとよいでしょう。

参考条文

民法
(取消権の期間の制限)
第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

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