ご自身が成年後見人になるには、お父様の成年後見の申し立ての際に、ご自身を後見人等の候補者として申し立てを行う必要があります。
ただし、誰を後見人に選任するかは、家庭裁判所が決定するため、ご自身を候補者として申し立てを行っても、第三者の弁護士や司法書士が選任される可能性があります。
1.成年後見人になるには
成年後見人になるために、特別な資格は不要です。お父様の親族の方でも、後見人になることができます。
もし自分がお父様の後見人になりたいと考えている場合、お父様の成年後見の申し立ての際に、ご自身を後見人等候補者として申し立てを行うとよいでしょう。
ただし、誰を後見人に選任するかについては、家庭裁判所が決定します。裁判所は、お父様の財産管理や身上監護を適正に行えるか等について総合的に考慮の上、誰を後見人に選任するかを決定します。
したがって、候補者として申し立てを行ったとしても、第三者(弁護士や司法書士など)が後見人に選任される可能性がある点には注意が必要です。
特に、親族間で誰を後見人とするか等について意見の対立がある場合、遺産分割等本人と候補者との間で利害の対立がある場合、管理財産が複雑で専門家の関与が必要な場合等は、第三者が選任される可能性が高くなるものといえます。
2.成年後見人になれない人
前述のとおり、成年後見人になるための資格はありません。しかし、誰でも成年後見人になれるわけではありません。なぜなら、成年後見人は本人のために、本人の財産を代わりに管理・処分するなどの重大な権限を有するためです。
民法847条は、後見人になることができない者として、次の者を規定しています。②の家庭裁判所で免ぜられたとは、親権や財産管理権の喪失を宣告された親権者や家庭裁判所から解任された保佐人・補助人が該当します。
①未成年者
②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
③破産者(復権していない者)
④被後見人(本人)に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
⑤行方の知れない者
いずれの欠格事由も、適正な財産管理等が見込めないことから、これらに該当する者は後見人等になることはできないとされています。
3.成年後見制度を利用した遺産分割
成年後見制度を利用した場合、遺産分割はどのように行われるのでしょうか。
成年後見制度を利用した場合に注意すべき点は、原則として本人の法定相続分を確保する必要がある点です。詳しくは、「成年後見制度を利用した場合の遺産分割のポイントと注意点」をご参照ください。
参考条文
民法(後見人の欠格事由)第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。一 未成年者二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人三 破産者四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族五 行方の知れない者