法律上、兄弟姉妹には遺留分はありません。
1.遺留分制度の趣旨
本来、被相続人は、生前又は遺贈により自由にその財産を処分することが認められています。
しかし、被相続人に無制限の財産処分を認めると、全ての財産が一部の相続人や愛人等の第三者に遺贈されたようなケースにおいて、相続人の生活が成り立たなくなる事態も想定されます。
そこで民法は、被相続人の遺族の生活保障、相続への期待を保護するという趣旨で遺留分の制度を設けています。
被相続人の兄弟姉妹は、配偶者や子供等の直系卑属、父母等の直系尊属と比べて被相続人との関係が遠いこと等の理由で、遺留分権利者とはされていません(民法1042条参照)。
2.遺言と兄弟姉妹の相続権
前述のとおり、被相続人の生前贈与や遺贈は、遺留分の制約を受けます。
しかし、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
そのため、被相続人の推定相続人が兄弟姉妹のみで、被相続人が全ての遺産を第三者に遺贈した場合、兄弟姉妹は被相続人の遺産を相続することができません。