遺留分侵害額の計算は、次の計算式で求めることができます。
遺留分侵害額=遺留分額-(遺留分権利者が被相続人から相続で取得した財産額-遺留分権利者が相続によって負担すべき相続債務額)-(遺留分権利者の特別受益額+遺留分権利者が受けた遺贈額)
1. 遺留分侵害額の計算方法
遺留分侵害額とは、①遺留分権利者の遺留分額と、②遺留分権利者が相続によって実際に取得した財産額との差額(①-②の額)です。
例えば、遺留分額が1,000万円で、相続によって実際に取得した財産額が500万円であれば、500万円が遺留分侵害額となります。反対に、実際に取得した財産額が遺留分額より多い場合は、遺留分侵害額はゼロとなるため、遺留分を請求することはできません。
遺留分侵害額の正確な計算式は、以下の通りです。
遺留分侵害額=遺留分額-(遺留分権利者が被相続人から相続で取得した財産額-遺留分権利者が相続によって負担すべき相続債務額)-(遺留分権利者の特別受益額+遺留分権利者が受けた遺贈額)
計算式の内容について詳しく知りたい方は、「遺留分額の計算」をご参照ください。
2. 相続債務の取り扱い
被相続人の借金等の相続債務は、相続人が法定相続割合にて相続します。
例えば、相続財産が3,000万円(内相続債務は2,000万円)、相続人が子2名(長男、長女)のケースで、「相続債務も含めて全ての遺産を長男に相続させる。」旨の遺言があった場合でも、長女は債権者に対し、1,000万円の支払い義務を負うことになります(民法1046条2項3号)。
上記の場合、長女の遺留分侵害額は250万円(3,000万円-2,000万円×1/2×1/2)となり、相続債務の方が多くなってしまいますが、遺留分侵害額の算定上は考慮されません。もっとも、長女が相続債権者に対して1,000万円を支払った場合は、長男に対し、支払った額を求償することができます。