特別寄与料制度とは、簡単に言うと、相続権のない親族が被相続人の療養看護などを行った場合に、無償で療養看護などの労務の提供をした等の一定の要件を満たせば、それに見合った金銭を相続人に請求できる制度です。
特別寄与料の請求方法は、特別寄与者から相続人に対し、任意の方法で請求することによって行います。
当事者間で話し合いがまとまれば、合意した金額を支払ってもらうことができます。話し合いがまとまらなかったり、話し合いができない場合は、特別寄与者は、家庭裁判所に対し、協議に代わる処分を請求することになります。
特別寄与料の金額は、特別寄与者と相続人との間の話し合い、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の協議に代わる処分によって決まります。
ただし、特別寄与料には上限額があり、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から、遺贈の価額を控除した残額を超えることができないとされています(民法1050条4項)。
目次
1. 特別寄与料制度とは
特別寄与料制度とは、相続人ではない被相続人の親族が、被相続人に対し、無償で、療養看護などの労務を提供し、それにより被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続開始後、相続人に対し、特別寄与料(金銭)を請求できる制度のことをいいます。
簡単に言うと、相続権のない親族が被相続人の療養看護などを行った場合に、一定の要件を満たせば、それに見合った金銭を相続人に請求できる制度です。
2. 特別寄与料が認められた背景
このような制度が創設された背景には、改正前の相続法において、相続人でない者の療養看護等の貢献が制度上認められていなかったことがあります。
例えば、義父母と同居していた長男の妻が、長男の死亡後に義父母の療養看護を長年行った場合でも、長男の妻は義父母の相続人ではないため、義父母の相続財産を受け取ることができませんでした。
そこで、このような場合に、一定の要件のもと、寄与行為に見合った金銭を請求できることになりました。
3. 特別寄与料が認められる者の範囲
特別寄与料が認められる者は、相続人ではない被相続人の親族です。
親族とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族のことをいいます(民法725条)。
親等の数え方は、親族間の世代数(親子の数)を数えます(民法726条1項)。例えば、被相続人の子供は、1親等、被相続人の孫は2親等、被相続人の父母は1親等、被相続人の祖父母は2親等、被相続人の兄弟姉妹は2親等の親族(血族)となります。
また、配偶者の父母(義父母)は、1親等の姻族、兄弟姉妹(義兄弟姉妹)は2親等の姻族となります。
なお、特別寄与料制度は、法律婚を前提としており、内縁の妻(夫)やその連れ子は、被相続人と親族関係にないため、この制度の適用はありません(※被相続人の配偶者の連れ子は養子縁組をしていなくても1親等の姻族であるため、適用があります)。
また、相続放棄をした者、欠格や廃除によって相続権を失った者も、この制度の適用はありません。
4. 特別寄与料が認められる要件
特別寄与料は、一定の要件のもと認められるものです。その要件は次のとおりです。
4-1.特別寄与者が相続人ではない被相続人の親族であること
前述のとおり、特別寄与者は、被相続人の相続人ではない親族である必要があります。親族の範囲は、前述のとおり6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族です。
4-2.無償での寄与であること
特別寄与料制度の趣旨より、寄与行為は無償でなされる必要があります。なお、被相続人が特別寄与者に対し金銭的報酬を与えていた場合や、生前贈与や遺言によって特別寄与行為に対する財産的利益を与えた場合は、無償での寄与とはいえなくなります。