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相続のよくあるご質問
成年後見人の報酬の基準、相場や目安について

成年後見人の報酬はどのように決まりますか。報酬に基準や目安、相場はありますか。

成年後見人等の報酬は、本人(成年被後見人)の財産や成年後見人等の事務内容等を家庭裁判所が総合的に考慮の上、決定されます。
報酬の基準は、全国のいくつかの家庭裁判所が公表しています。基本的には、本人の財産の額(管理財産額)や行った事務内容等を総合的に考慮し、家庭裁判所が決定します。具体的な金額は地域や家庭裁判所によって異なります。

1.成年後見人の報酬の決まり方

家庭裁判所は、成年後見人及び本人(成年被後見人といいます)の資力その他の事情によって、本人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができるとされています(民法862条参照)。

成年後見人の報酬は、成年後見人からの報酬付与の申し立てにより、家庭裁判所が決定します。

報酬算定の基準

成年後見人の報酬には、基本的な事務に対する報酬(基本報酬)と、特別な事務を行った場合の報酬(付加報酬)があります。

成年後見人は、本人の財産管理、身上監護に関する事務を行います。

財産管理とは、預貯金や有価証券、不動産等の財産を適切に管理する事務のことで、預貯金口座の入出金のチェックや入院費・施設利用料等支払い、不動産の管理等が主な事務となります。

一方、身上監護とは、病院や施設、介護サービス等の検討・契約行為等が主な事務となります。

このような事務のうち、通常後見人として想定される事務についての報酬が、基本報酬です。また、付加報酬は、訴訟、示談、遺産分割、不動産の売却、保険金の請求その他特別な事務を行った場合の報酬です。

報酬が付与される時期

弁護士や司法書士などの専門職が成年後見人になっている場合、年に1度の定期報告の際に併せて報酬付与の申し立てを行うのが一般的です。つまり、専門職後見人の報酬は1年ごとの後払いということです。

成年後見人等の実費

成年後見人等がその事務を行うために必要な実費は、本人の財産から支出します。実費の主なものは、本人との面会のため等の交通費や関係者とのやり取りの郵便切手代などがあります。

実費の精算方法については、特に法律に決まりはありません。予め1万円程度を本人の財産から出金の上、そこから支出する方法や、一旦成年後見人等が立て替えて1か月毎に精算する方法等があります。

なお、実費の支出及び精算の際は、必ず現金出納帳を作成し、裁判所から照会があればいつでも明細を提出できるよう準備する必要があります。

2.成年後見人の報酬額の目安・相場

成年後見人の報酬額は、法律で決まっているわけではありませんが、全国いくつかの家庭裁判所がその基準額及びその考え方を公表しています。

このうち、東京家庭裁判所立川支部が公表している基本報酬の基準では、通常の後見事務を行った場合は、目安として月額換算で2万円とされています。管理財産の額が増えるにつれて報酬額が増えます。1,000万円を超え5,000万円以下の場合は月額3~4万円、5,000万円を超える場合は5~6万円とされています。

ただし、この額には地域差があり、愛知県、岐阜県、三重県の家庭裁判所の場合は、この目安よりも低いとされています。

なお、成年後見(法定後見)には後見、保佐、補助の3類型がありますが、どの類型でも報酬額の考え方や目安は同じです。後見だから高い、補助だから安い、ということはありません。

3.成年後見監督人の報酬額・相場

成年後見監督人は、後見人の事務を監督するために選任される者で、通常は弁護士、司法書士等の専門家が選任されています。

成年後見監督人の報酬額は、前述の東京家庭裁判所立川支部によると、管理財産が5,000万円以下の場合は月額換算で1~2万円、5,000万円を超える場合は2万5,000~3万円程度となります。

報酬額に地域差があることや、保佐監督人、補助監督人の類型でも報酬額は変わらない点は後見と同様です。

4.後見人が複数いる場合の報酬の決まり方

成年後見人が複数いる場合とは、例えば、財産管理を専門家が行い、身上監護を親族が行うようなケースです。

この場合、前述の報酬額を、行った事務の内容に応じて按分します。複数いるからといって、報酬の負担総額が増えるわけではありません。

5.被後見人(本人)の財産がない、又は少ない場合の報酬

本人の財産がほとんどない場合、家庭裁判所が決定する報酬の金額も通常の案件よりは少なくなることが一般的です。報酬額は本人の資力(財産)も考慮して決定されるためです。

仮に決定された報酬額を本人の財産から支払えない場合、事実上報酬を受け取ることができません。

なお、本人が居住する市町村によっては、このような場合を想定して、一定の要件を満たすことを条件に、成年後見人等の報酬助成を行っているところもあります。この場合、後見人等は市町村に対して報酬助成の申し立てを行い、市町村から報酬を受領することになります。

6.親族後見人でも報酬を請求できるか

親族後見人であっても、専門職後見人と同様に、報酬付与の申し立てをすることができます。

この場合の報酬額は、前述の目安に準じたものになるものと考えられますが、東京家庭裁判所立川支部が公表している目安によると、事案に応じて減額されることも考えられます。

参考条文

(後見人の報酬)
第八百六十二条 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。

 

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