株式や投資信託、国債等の有価証券は、会社名や株数、商品の特定を正確に行う必要があります。通常、銀行や証券会社から購入するため、定期的に送付されてくる残高証明書や直近の保有資産一覧を基に、遺産分割協議書に記載するとよいでしょう。
以下では、具体的な株式、投資信託、国債等有価証券の記載方法について解説しています。
目次
1.遺産分割協議書に株式、投資信託、国債等の有価証券を記載する場合の注意点
遺産分割協議書に株式、投資信託、国債等の有価証券を記載する場合、対象となる財産の特定に注意する必要があります。
記載が誤っていたり特定ができていない場合、そのままでは手続きができない可能性があるため、証券会社等からの書類の記載を参考に、正確に記載する必要があります。
1-1.株式の特定
株式は、一般的には「会社名」、「記号・番号」、「株式数」等で特定します。発行会社名は、遺産分割時点の正式な会社名となるため、一般的な通称名と異なる場合があります。
また、株式数についても、株式の併合や分割により、株式数が変わっている可能性があります。
株式の併合とは、数個の株式を1株に統合することで、例えば、2株を1株に併合すると、100株が50株となります。また、株式の分割とは、1株を複数の株式に分けて発行済株式数を増やすことで、例えば、1株を3株に分割すると、100株が300株となります。
なお、株式の併合や分割は、所有株式数が変わるのみで、所有株式全体の価値(保有株式の評価額)に影響を与えることは通常ありませんが、所有株式数が変わることから、遺産分割協議書に記載漏れとなる可能性もあります。
相続財産に多数の株式が含まれている場合は、遺産分割協議を行う直前に、最新の残高証明書を証券会社から取り寄せ、確認するとよいでしょう。
1-2.投資信託等の特定
投資信託は、対象となる商品だけでなく、その配当金等が証券会社の預かり金口座に存在している場合もあります。証券会社から定期的に残高報告書が送付されてきますが、残高は変動する可能性があるため、包括的な記載をするケースもあります。
◆個別に記載する方法(一例)
〇〇証券株式会社〇〇支店(口座番号〇〇)の以下の有価証券等
・投資信託 米国ハイイールド債権Fブラジルレアル
・投資信託 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・MRF 〇〇証券MRF〇〇口
・上記の他、預託している被相続人名義の全ての財産
◆包括的に記載する方法(一例)
〇〇証券株式会社〇〇支店(口座番号〇〇)に預託している被相続人の金銭、MRF、投資信託、公社債、預け金を含む全ての財産及びその他財産一切の権利
1-3.国債の特定
国債は、次の要領で特定します。
〇〇銀行〇〇支店(口座番号〇〇)の国債(第〇回利付国庫債券(10年)額面〇〇万円)
2.遺産分割協議書の記載例
遺産分割協議書の記載例は、以下のとおりです。
なお、商品名や番号等は一例です。残高証明書等の記載に合わせて正確に記載する必要があります。