年金を受けていた人が亡くなった場合、①年金を止める手続と、②遺族等が年金をもらう手続の2つを確認する必要があります。
年金を止める手続には、国民年金の資格喪失届や厚生年金保険の資格喪失届等があります。年金をもらう手続には、未支給年金の届出や遺族年金の請求等があります。
目次
1.年金を止める手続
1-1.国民年金の資格喪失届
国民年金とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方がすべて加入する年金です。自営業者や農業・漁業者、無職の方等は、国民年金の保険料を自分で納めているため、第1号被保険者と呼ばれています。
国民年金の被保険者が死亡したときは、14日以内に、市町村長等に対して、国民年金の資格喪失届出を提出する必要があります。
1-2.厚生年金保険の資格喪失届
厚生年金保険とは、国民年金に上乗せして給付される年金で、主に会社に勤めている人や公務員が加入しています。厚生年金保険に加入している人は、国民年金にも加入していますが、その保険料は厚生年金保険が代わりに負担しているので、直接国民年金の保険料を納めていません。第2号被保険者と呼ばれています。
厚生年金保険の被保険者が死亡したときは、事業主は、5日以内に、年金事務所に対して、厚生年金保険の資格喪失届を提出する必要があります。
付随する手続
例えば、厚生年金保険や共済組合に加入している夫によって扶養されていた妻(第3号被保険者と呼ばれています)は、直接国民年金の保険料を納めていなかったものの、夫の死亡によって、第1号被保険者となり、保険料を納めることになるため、14日以内に、市町村長等に対して、種別の変更届を提出する必要があります。
1-3. 年金受給権者の死亡届
年金を受けとっている人が亡くなった場合は、10日以内(国民年金は14日以内)に、年金事務所に対し、年金受給権者死亡届(報告書)を提出する必要があります。
ただし、年金受給権者の死亡届は、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている人については、原則として不要です。
2.遺族等が年金をもらう手続
2-1.未支給年金の届出
未支給年金とは、年金を受けている人が死亡時点で未受領の年金や死亡後に振り込まれた年金のうち、死亡した月分までの年金のことをいいます。
未支給年金は、年金を受けていた人が亡くなった時、その人と生計を同じくしていた次の方がもらうことができます。受け取ることのできる順位も同じです。
- ①配偶者
- ②子
- ③父母
- ④孫
- ⑤祖父母
- ⑥兄弟姉妹
- ⑦その他上記以外の3親等内の親族
2-2.遺族年金
亡くなられた方に一定の遺族がいる場合、遺族年金等を受け取ることができます。
遺族年金には、遺族基礎年金、遺族厚生年金があり、遺族への給付金として寡婦年金、死亡一時金等があります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、死亡した人が国民年金に加入中で、一定の要件を満たす配偶者または子が受けることができます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、死亡した人が厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった場合に、その人によって生計維持されていた遺族が受けることができます。
寡婦年金
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなったときに、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計維持されていた妻が受けることができます。
死亡一時金
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときに、その人と生計を同じくしていた遺族が受けることができます。