復氏(ふくし)届とは、婚姻(結婚)によって氏を改めた方が、配偶者の死亡後に、婚姻前の氏(旧姓)に戻るための届出のことをいいます。生存配偶者が婚姻前の氏に戻すには、その本籍地又は住所地の市区町村役場において、必要書類をそえて復氏届を提出します。
なお、未成年の子がいる場合、子の氏は生存配偶者が復氏届を提出したのみでは変更されないため、別途家庭裁判所に対し、子の氏の変更許可申立を行い、許可審判を得る必要があります。
1.復氏届とは
復氏(ふくし)届とは、婚姻(結婚)によって氏を改めた方が、配偶者の死亡後に、婚姻前の氏(旧姓)に戻るための届出のことをいいます。
復氏届をすることにより、生存配偶者は、婚姻前の氏を称することができます。戸籍上も婚姻前の氏が記載されます。
2.復氏届の手続き
2-1.届出をすることができる人
復氏届の届出をすることができるのは、婚姻によって氏を改めた生存配偶者です。
2-2.届出先
復氏届の届出は、生存配偶者(届出者)の本籍地又は住所地の市区町村役場となります。
2-3.必要書類
復氏届の提出に必要な書類は、次のとおりです。
- 復氏届(用紙は役所に備え付けてあります)
- 戸籍謄本(届出先が本籍地を管轄する市区町村役場の場合、原則不要です)
- 認印
- 身分証
2-4.期限
復氏届の提出は、配偶者死亡後、いつでもすることができます。いつまでにしなければならない、といった期限はありません。
3.未成年の子がいる場合
復氏届は、あくまでも生存配偶者の氏のみを、婚姻前の氏(旧姓)に戻す手続です。したがって、未成年の子がいる場合、復氏届を提出しただけでは、子の氏は死亡配偶者の氏のままであり、戸籍も死亡配偶者と同じ戸籍に残ることになります。
仮に、子の氏を変更し、生存配偶者と同じ戸籍に入れたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立を行う必要があります。その上で、生存配偶者の戸籍に入籍する手続きをとることになります。
4.二回目の婚姻の場合
2回目の婚姻の後に復氏する場合、1回目の婚姻をする前の氏又は1回目の婚姻の際に改めた氏に戻すか、いずれかを選択することができます。
例えば、独身時代の氏名が「中部花子」の方が、1回目の婚姻で「東海花子」に氏を改め、死別後に再婚した際に「愛知花子」に氏を改めた後、配偶者が死亡した場合、愛知花子さんは、「中部花子」か「東海花子」のいずれかを選択して復氏することができます。
参考条文
民法
(生存配偶者の復氏等)
第七百五十一条 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
2 第七百六十九条の規定は、前項及び第七百二十八条第二項の場合について準用する。