養子には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
普通養子縁組がなされた場合には、養子にいったとしても実父母との親子関係は消滅しないので、実父母の相続についても相続人となります。
一方、特別養子縁組がなされた場合には、養子縁組が成立すると実父母との親子関係が消滅するので、実父母の相続について相続人とはなりません。
1.養子縁組の種類
養子縁組とは、養親と養子との間に法律上の親子関係を生じさせることをいいます。養子縁組をすることにより、縁組成立の日から、養子は養親の嫡出子たる身分を取得します(民法809条)。
1-1.普通養子縁組
普通養子縁組とは、養親になろうとする者と養子になろうとする者の合意に基づいて、戸籍法の定める届出をすることによって成立する養子縁組の形態です。一般的な養子縁組の形態です。
1-2.特別養子縁組
特別養子縁組とは、一定の要件の下、家庭裁判所の許可によって成立する養子縁組の形態です。経済的な理由や虐待等さまざまな理由で、実の親のもとでは養育を受けられない子供のための制度です。
2.養子と相続
養子縁組をした場合、相続についてはどのように扱われるのでしょうか。普通養子と特別養子によって取扱いが異なる部分もあるため、注意が必要です。
2-1.養子の相続分
普通養子であっても特別養子であっても、養親が死亡した場合の相続分は同じです。例えば、養親が死亡し、養親の相続人として実子が2名、養子が1名いた場合、子3名はそれぞれ3分の1の相続分を有します。
2-2.養子の遺留分権
普通養子であっても特別養子であっても、養親の相続人としての地位は変わらないため、全体として2分の1の遺留分を有します。
例えば実子1名、普通養子1名、特別養子1名の合計3名が相続人となる場合、各相続人は、それぞれ6分の1の遺留分を有します。
2-3.養子の子の代襲相続権
代襲相続権とは、本来相続人となるべき者が、被相続人の死亡以前に既に死亡していた場合や、相続欠格等によって相続資格を剥奪された場合に、その者の直系卑属(子や孫など)が、本来相続人となるべき者に代わって、その相続分を相続する権利のことをいいます。
普通養子であっても特別養子であっても、養子の子が養親(被相続人)の相続について代襲相続人となることができるかどうかは、養子の子が生まれた日によって異なります。
養親(被相続人)と養子が養子縁組をする前に生まれた子(養子の子)については、養親(被相続人)の相続について代襲相続人とはなりませんが、養子縁組をした後に生まれた子(養子の子)は、代襲相続人となります。
2-4.実父母の相続権
普通養子縁組がなされた場合、養子は実父母との親子関係は消滅しないため、実父母の相続についても相続人となります。
一方、特別養子縁組がなされた場合、養子縁組が成立すると実父母との親子関係が法律上消滅するので、実父母の相続について相続人となることはできません。
参考条文
民法
(嫡出子の身分の取得)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには、第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。