目次
回答
相続放棄をした相続人がいる場合、法定相続人の数や相続割合が変わります。
相続放棄の効果は、「初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)ものであるため、相続放棄をした相続人は初めからいなかったものとして、法定相続人や相続割合を計算することになります。
解説
1.相続放棄の効果
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。そのため、相続放棄をした者がいる場合、放棄をした相続人は初めからいなかったものとして、法定相続人や相続割合を計算することになります。
なお、相続の順位及び相続人の法定相続分は、次のとおりです。
■ 配偶者 |
常に相続人 |
■ 血 族 |
第1順位 |
|
配偶者 |
配偶者以外の相続人 |
配偶者と子の場合 |
2分の1 |
2分の1 ※複数存在する場合には、頭数で等分する |
配偶者と直系 |
3分の2 |
3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹の場合 |
4分の3 |
4分の1 |
配偶者のみ |
全て |
|
配偶者以外の相続人のみ |
|
全て |
2.具体例
2-1.父が死亡し、相続人が妻と子2名の場合で、妻が相続放棄した場合
この場合、法定相続分は、妻が2分の1、子2名がそれぞれ4分の1です。この場合に、妻が相続放棄をすると、妻は初めから相続人ではなかったものとみなされるため、亡父の法定相続人は子2名のみとなります。そのため、子2名の法定相続分は、それぞれ2分の1となります。
2-2.父が死亡し、相続人が妻と子2名の場合で、子の1名が相続放棄した場合
この場合、法定相続分は、妻が2分の1、子2名がそれぞれ4分の1です。この場合に、子の1人が相続放棄をすると、当該子は初めから相続人ではなかったものとみなされるため、亡父の法定相続人は妻と子1名のみとなります。そのため、妻と子1名の法定相続分は、それぞれ2分の1となります。
2-3.父が死亡し、相続人が妻と子1名の場合で、子の1名が相続放棄した場合
この場合、法定相続分は、妻が2分の1、子が2分の1です。この場合に、子が相続放棄をすると、当該子は初めから相続人ではなかったものとみなされるため、亡父の法定相続人は妻と直系尊属となります。そのため、妻と直系尊属の場合は妻が3分の2、直系尊属が3分の1となります。
なお、直系尊属がいない場合は、妻と兄弟姉妹が法定相続人となるため、相続割合は妻が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
2-4.父が死亡し、相続人が父の兄弟姉妹3名の場合
この場合、法定相続分は兄弟姉妹3名がそれぞれ3分の1です。この場合に、兄弟姉妹の1人が相続放棄をすると、当該兄弟姉妹は初めから相続人ではなかったものとみなされるため、亡父の法定相続人は兄弟姉妹2名のみとなり、その法定相続分はそれぞれ2分の1となります。
参考条文
民法
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。