回答
相続税の申告及び納税は、遺産が分割されていない場合であっても、申告期限までにしなければなりません。遺産分割協議がまとまっていない、ということで相続税の申告期限が延びることはありません。
遺産分割協議がまとまっていない場合は、法定相続分の割合にて取得したと仮定して、相続税の申告・納付を行います。そして、遺産分割協議がまとまった後、法定相続分より多く取得した相続人は修正申告を、法定相続分より少なく取得した相続人は更正請求をすることができます。
もっとも、相続税の納税額の合計金額は変わらないことから、修正・更正請求をせず、相続人間で精算することも可能です。
解説
1.相続税の申告期限
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があり、納税も同時に現金で行うのが原則です。
例えば、2月5日に被相続人が死亡し、同日そのことを知った場合は、その年の12月5日が申告期限となります。ただし、この期限の末日が土日や祝日である場合は、これらの日の翌日が期限となります。
2.遺産分割協議の期限
一方、遺産分割協議には、本原稿執筆時点においては、法律上いつまでにしなければならない、という期限はありません。
遺産分割協議が成立するには、相続人全員の合意が必要であるため、相続人間で遺産をめぐる紛争がある場合、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立しないことがあります。
3.遺産分割協議がまとまらない場合の相続税申告
相続税の申告及び納税は、遺産分割協議がまとまっていなくても、申告期限までにしなければなりません。遺産分割協議がまとまらない場合に、相続税の申告期限が延びることはありません。
そこで、遺産分割協議がまとまらない場合には、法定相続分の割合にて取得したと仮定して、相続税の申告・納付を行います。その後、遺産分割協議がまとまった場合には、法定相続分より多く取得した相続人は修正申告を、法定相続分より少なく取得した相続人は更正請求をすることができます。
もっとも、相続税の納税額の合計金額は変わらないことから、修正・更正請求をせず、相続人間で精算することも可能です。
精算とは、法定相続分で計算した納税額と遺産分割協議の内容に基づいて納税すべき額を比較して、少なく納税した相続人(法定相続分より遺産を多く取得した相続人)が、多く納税した相続人(法定相続分より遺産を少なく取得した相続人)に対し、差額を支払う、というものです。
3.小規模宅地等の特例に注意
相続税の申告をする際に、小規模宅地の特例や配偶者の税額控除の特例を使うケースがあります。
遺産分割協議がまとまっていない場合には、誰がどの遺産を取得するか確定していないため、上記の特例が使えず、遺産分割協議が成立した場合と比較して、相続税を多く支払わなければならない可能性があります。
ただし、相続税の申告の際に、申告期限後3年以内に遺産分割が成立する見込みであることの届出を行えば、後日遺産分割が成立した際に、多く納めすぎた相続税の還付を受けることが可能です。