遺産分割調停を取り下げると、調停の申し立てが初めからなかったものとみなされます。取り下げにより、遺産分割の問題は、調停手続きにおいては、解決されずに終了します。
なお、取下げを行った申立人が再度遺産分割調停を申し立てることや、相手方(他の相続人等)が別途遺産分割調停を申し立てることも可能です。
1.遺産分割調停の取下げとは
遺産分割調停の取下げとは、遺産分割調停を申し立てた申立人が、家庭裁判所に対し、その申立てを取り下げることをいいます。
2.取下げの方法
遺産分割調停の取下げは、通常、取下書を家庭裁判所に提出する方法によって行います。
取下書には、取り下げる理由の記載は必要ありません。遺産分割調停は、調停が終了するまでの間であれば、理由にかかわらず、取り下げることができます(家事事件手続法273条1項)。また、遺産分割調停の相手方(他の相続人等)の同意も必要ありません。
3.取下げの効果、再度の申立ての可否
遺産分割調停を取り下げると、申立ては初めからなかったものとみなされます。
申立てを取り下げた場合であっても、再度申し立てることは可能です。また、相手方(他の相続人等)から申し立てがなされることもあります。
4.調停不成立との違い
調停の不成立は、調停手続きにおいて当事者間の話し合いがまとまる見込みがない等の理由で調停が終了するものです。調停が不成立で終了した場合は、当然に審判手続きに移行し、裁判所が判断をします。
一方、調停が取下げによって終了した場合は、調停の申し立てそのものがなかったことになるため、審判手続きに移行することはありません。
参考条文
家事事件手続法
(家事調停の申立ての取下げ)
第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。