ホーム > 弁護士が教える自分でできる相続手続き > 相続登記の申請書、相続登記の必要書類

相続登記の申請書、相続登記の必要書類

自分でできる相続登記|遺産分割・遺留分に強い相続の弁護士無料相談 - 名古屋市・愛知県

相続財産に不動産がある場合、通常は相続登記を行います。相続登記とは、被相続人(亡くなった方)の名前になっている不動産の名義を、相続人の名義に変える手続のことをいい、その不動産を管轄する法務局で手続を行います。

時間と手間を惜しまなければ、相続登記は自分ですることも可能です。以下では、自分で相続登記をするための申請書の書き方や手続費用、必要書類について解説します。

1.相続登記とは

相続登記とは、被相続人(亡くなった方)が所有している不動産の名義を、相続人の名義に変更する手続のことをいいます。簡単にいうと、不動産の名義変更手続です。

不動産は一般的に高額な財産であるため、その名義変更手続には厳格なルールが定められています。

2.相続登記の管轄

相続登記は、その不動産を管轄する法務局に対して、申請書と必要書類を提出する方法で行います。提出方法は、窓口に持参しても郵送でも構いません。東海3県の不動産の所在とその管轄法務局の一番は、以下のとおりです。

◆愛知県

不動産の所在(場所)

管轄法務局

愛知県

名古屋市の内

 中区、東区、北区、中村区、西区、千種区、昭和区

西春日井郡豊山町

清須市、北名古屋市

名古屋法務局

名古屋市の内

 熱田区、南区、中川区、港区、瑞穂区、緑区

豊明市

名古屋法務局熱田出張所

名古屋市の内

 名東区、守山区、天白区

日進市、長久手市

愛知郡東郷町

名古屋法務局名東出張所

春日井市、瀬戸市

犬山市、小牧市

尾張旭市、丹羽郡(大口町、扶桑町)

名古屋法務局春日井支局

津島市、愛西市

弥富市、あま市

海部郡(蟹江町、飛島村、大治町)

名古屋法務局津島支局

一宮市、稲沢市

江南市、岩倉市

名古屋法務局一宮支局

半田市、常滑市

大府市、東海市

知多市、知多郡(阿久比町、武豊町、南知多町、美浜町、東浦町)

名古屋法務局半田支局

岡崎市

額田郡幸田町

名古屋法務局岡崎支局

刈谷市、知立市

安城市、碧南市

高浜市

名古屋法務局刈谷支局

豊田市

みよし市

名古屋法務局豊田支局

西尾市

名古屋法務局西尾支局

豊橋市

田原市

名古屋法務局豊橋支局

豊川市

蒲郡市

名古屋法務局豊川出張所

新城市

北設楽郡(設楽町、東栄町、豊根村)

名古屋法務局新城支局

 

◆三重県

不動産の所在(場所)

管轄法務局

三重県

津市、亀山市

津地方法務局

鈴鹿市

津地方法務局鈴鹿出張所

四日市市

三重郡朝日町、川越町、菰野町

津地方法務局四日市支局

伊賀市、名張市

津地方法務局伊賀支局

松阪市

多気郡多気町、明和町、大台町

度会郡大紀町

津地方法務局松阪支局

桑名市、いなべ市

桑名郡木曽岬町

員弁郡東員町

津地方法務局桑名支局

伊勢市、鳥羽市、志摩市

度会郡度会町、玉城町、南伊勢町

津地方法務局伊勢支局

熊野市

南牟婁郡御浜町、紀宝町

津地方法務局熊野支局

尾鷲市

北牟婁郡紀北町

津地方法務局尾鷲出張所

 

◆岐阜県

不動産の所在(場所)

管轄法務局

岐阜県

岐阜市

羽島市

各務原市

山県市

瑞穂市

本巣市

羽島郡(岐南町、笠松町)

本巣郡(北方町)

岐阜地方法務局

郡上市

岐阜地方法務局八幡支局

大垣市

海津市

養老郡(養老町)

不破郡(垂井町、関ケ原町)

安八郡(神戸町、輪之内町、安八町)

揖斐郡(揖斐川町、池田町、大野町)

岐阜地方法務局大垣支局

美濃加茂市

可児市

関市

美濃市

加茂郡(坂祝町、富加町、川辺町、八百津町、七宗町、白川町、東白川村)

可児郡(御嵩町)

下呂市のうち金山町

岐阜地方法務局美濃加茂支局

多治見市

土岐市

瑞浪市

岐阜地方法務局多治見支局

中津川市

恵那市

岐阜地方法務局中津川支局

高山市

飛騨市

大野郡(白川村)

下呂市(金山町を除く)

岐阜地方法務局高山支局

3.相続登記の申請書

3-1.基本書式

 

登 記 申 請 書

 

登記の目的  所有権移転*1

 

原   因  平成○○年○○月○○日相続*2

 

相 続 人    (被相続人 中部 太郎)*3

 

 (申請人)  ○○市○○町二丁目12番地*4

               持分2分の1*5   中部 花子 印*6

                 ○○市○○町三丁目45番6号

               持分2分の1   中部 一郎 印

                    連絡先の電話番号○○○-○○○○-○○○○*7

 

添付情報

   登記原因証明情報*8 住所証明情報*9

□登記識別情報の通知を希望しません。*10

 

平成○○年○○月○○日申請*11 ○○ 法 務 局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)*12

 

課税価格 金○○○○円*13

 

登録免許税 金○○○○円*14

 

不動産の表示*15

  不動産番号    1234567891234*16

 所   在  ○○市○○町○丁目

    地   番     ○○番

 地   目     宅 地

 地   積     ○○.○○㎡

 

 不動産番号    1234567891233

 所   在  ○○市○○町○丁目○○番地

 家 屋 番 号   ○○番

 種   類  居 宅

 構   造  木造瓦葺2階建

 床    面     積  1階 ○○.○○㎡

                         2階 ○○.○○㎡

 

*1・・・被相続人が単独所有の場合は「所有権移転」、共有持分の場合は「○○(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載します。

*2・・・被相続人の死亡年月日(戸籍に死亡と記載された日)を、和暦で記載します。

*3・・・被相続人の氏名(戸籍に記載された正式な氏名)を記載します。

*4・・・申請人の住民票上の住所(番地等省略せずに住民票のとおり記載)を記載します。

*5・・・共有となる場合、取得する相続人のそれぞれの持分を氏名の前に記載します。単独で相続する場合は持分の記載は不要です。

*6・・・申請人の認印を押印します。シャチハタは使用できません。

*7・・・申請人の連絡先を記載します。固定電話でも携帯電話でも構いませんが、法務局の営業時間中(平日の日中)に連絡のつく番号を記載します。書類の不備、記載の訂正等の指示は、こちらに記載した番号に連絡されます。

*8・・・登記原因証明情報とは、今回の名義変更の原因となる事実または法律行為が記載された書面のことをいいます。詳細は、後記「相続登記の必要書類」をご参照下さい。

*9・・・通常は相続人の住民票(抄本で構いませんが、本籍地の記載があることが望ましいです)を添付します。

*10・・・登記識別情報とは、昔の権利書のことをいいます。登記識別情報の通知を望まない場合のみ、こちらにチェックを入れます。登記識別情報は、将来不動産を売却する際などに必要となりますので、通常はチェックを入れないほうがよいでしょう。

*11・・・法務局の窓口に申請書を持参する場合は、持参日を記載します。郵送の場合は、発送日を記載します。

*12・・・上記「相続登記の管轄」を参考に、不動産の所在地を管轄する法務局を記載します。

*13・・・当該不動産の最新年度(毎年4月1日以降に新年度の証明書が発行されます)の固定資産評価額を記載します(1000円未満は切り捨て)。年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとなります。

例1)法務局に提出した日(法務局の受付日)が平成30年3月31日の場合→平成29年度の固定資産評価証明書(又は課税明細)に記載された評価額が課税価格となります。

例2)法務局に提出した日(法務局の受付日)が平成30年4月1日の場合→平成30年度の固定資産評価証明書(又は課税明細)に記載された評価額が課税価格となります。

*14・・・相続登記の登録免許税額を記載します。上記*13の課税価格の0.4%(100円未満は切り捨て)が登録免許税額となります。

例)課税価格が1234万3000円の場合の登録免許税額=1234万3000円×0.4%=49300円(49372円の100円未満切り捨て)

*15・・・不動産の表示は、法務局で取得した不動産の登記簿謄本を基に、正確に記載します。

*16・・・不動産番号の記載はなくても構いませんが、記載する場合は登記簿謄本の右上にある番号を記載します。

4.相続登記の費用

相続登記の費用(登録免許税)は、申請する不動産の最新年度の固定資産評価額(課税価格)の0.4%です。

例えば、申請する不動産の課税価格の合計が1234万3000円の場合の登録免許税額は、1234万3000円×0.4%=49300円(49372円の100円未満切り捨て)となります。

4-1.課税価格とは

課税価格とは、当該不動産の最新年度の固定資産評価証明書又は課税明細に記載のある価格(1000円未満切り捨て)のことです。年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとなります。

例1)法務局に提出した日(法務局の受付日)が平成29年4月1日から平成30年3月31日の場合→平成29年度の固定資産評価証明書(又は課税明細)に記載された評価額が最新年度の課税価格となります。

例2)法務局に提出した日(法務局の受付日)が平成30年4月1日から平成31年3月31日までの場合→平成30年度の固定資産評価証明書(又は課税明細)に記載された評価額が最新年度の課税価格となります。

4-2.登録免許税とは

登録免許税とは、登録免許税法によって、登記や登録等をする場合に課税される国税です。

相続登記で納付する登録免許税は、通常は法務局や郵便局で収入印紙を購入し、申請書別紙に貼付することで納付します。なお、貼った印紙は法務局が消印するため、申請人が消印してはいけません。

5.相続登記の必要書類

相続登記の申請書には、事案に応じて必要書類を添付します。以下では、主な3つのパターンの一般的な必要書類を記載します。司法書士に依頼した場合は、原則として印鑑証明書を除く全ての書類を司法書士が取得、作成することが可能です。

提出書類の原本を返してもらいたい場合は、次の方法をとる必要があります。

●戸籍の原本を返してもらいたい場合→相続関係説明図を作成の上、提出する

QA⇒相続登記に必要な相続関係説明図とは?その書式と記載例

●遺産分割協議書、印鑑証明書、遺言書、住民票等を返してもらいたい場合→写しと原本を提出し、写しには、「原本に相違ありません」との文言及び申請人の氏名を記載し、申請書に押印した印鑑で押印します。

5-1. 法定相続分で登記する場合

  • 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍・原戸籍・除籍謄本
  • 被相続人(亡くなられた方)の死亡時の住所のわかる戸籍の附票又は住民票除票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 法定相続人全員の住民票
  • 名義を変更する不動産の固定資産評価証明書又は課税明細(最新年度のもの)

5-2. 法定相続分と異なる割合(遺産分割による単独相続を含む)で登記する場合

  • 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍・原戸籍・除籍謄本
  • 被相続人(亡くなられた方)の死亡時の住所のわかる戸籍の附票又は住民票除票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 法定相続人全員の住民票
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印での押印)
  • 名義を変更する不動産の固定資産評価証明書又は課税明細(最新年度のもの)

5-3. 遺言書により登記する場合

  • 遺言書(公正証書遺言以外は家庭裁判所の検認済のもの)
  • 遺言者の住民票の除票(本籍地の記載のあるもの)
  • 遺言者の死亡の旨の記載がある戸籍謄本
  • 名義を取得する相続人の戸籍謄本(遺言者との相続関係がわかるもの)
  • 名義を取得する相続人の住民票
  • 名義を変更する不動産の固定資産評価証明書又は課税明細(最新年度のもの)

6.相続登記の流れ                             

Step1  名義変更が必要な不動産を確認する

最新の固定資産の納税通知書や名寄せ台帳によって、被相続人が所有していた不動産の一覧を確認します。なお、遺言書がある場合は、原則として遺言書に基づいて登記するため、遺言書の有無は早めに確認しておきましょう。

QA⇒未登記建物の名義変更はどのようにすればよいですか

Step2  法務局で該当する不動産の登記簿謄本を取得する

不動産の登記簿謄本には、不動産番号、所在、地番(又は家屋番号)、面積、現在の所有者などの情報が記載されています。

Step3  戸籍や住民票を取得する

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍や印鑑証明書、住民票など、役所で取得できる必要書類を準備します。

Step4  登記申請書、必要に応じて遺産分割協議書を作成する

戸籍など必要な書類が揃ったら、登記申請書や必要に応じて遺産分割協議書等を作成します。作成が済み次第、必要な押印をもらっておきましょう。

Step5  管轄の法務局に書類を提出

必要な書類が準備できたら、管轄の法務局に書類を提出します。提出にあたって、登録免許税額に相当する収入印紙を購入し、申請書別紙に貼付しましょう。心配な場合は、法務局の相談窓口でチェックを受けてもよいでしょう。

Step6  登記完了、登記識別情報等関係書類の受領

通常申請書等を提出してから1週間から2週間で、法務局の名義変更処理が完了します。何か訂正や追加書類の提出が必要な場合は、その分余分に時間がかかります。なお、申請は郵送で可能ですが、書類を訂正(書き直す)する場合は管轄の法務局まで出向く必要があります。

7.相続登記をするメリット、デメリット

相続登記をするメリット、デメリットは次のとおりです。相続登記は不動産を売却したり担保に入れたりする場合に必ず行う必要があるため、遅かれ早かれ行う手続といえるため、通常は速やかに手続を行うことが望ましいでしょう。

メリット

デメリット

不動産の売却が可能になる

二次相続による相続人の増加を避けることができる

戸籍や住民票など公的書類が保存期間経過により取得できなくなるリスクを避けることができる

登録免許税を支払う必要がある

 

遺産相続でお悩みの方へ。
相続問題に強い中部法律事務所の弁護士が、専門家として、
親切・丁寧に対応,相続事件の解決を全力サポートします。